TOPへTOPへ

胸痛

胸痛とは?

胸痛とは?胸痛と言っても胸の不快感、圧迫感、絞扼感、灼熱感など幅広く症状の訴えはあります。

胸痛の原因

胸痛の原因となるもので
命に関わる病態は4つあります。

1 急性冠症候群

心臓の筋肉を栄養する冠動脈が詰まりかけている、もしくは詰まってしまっている状態になります。症状としては胸の痛みだけではなく、奥歯の痛み、歯の浮く感じ、顎が痛い、手が痺れるなど多彩です。また痛みの部分も指先で局所的に表せることは少なく、手のひらでこのあたりが痛いといった風に表させることが多くなっています。もともと糖尿病や高血圧、脂質異常症、喫煙などといった動脈硬化のリスクが高い方がなりやすくなっています。心電図でST上昇があれば心筋梗塞の診断となりますが、ST上昇がないからといって否定は出来ません。心筋逸脱酵素と呼ばれる心臓のダメージを見る採血でトロポニン上昇がないかを確認します。急性冠症候群と診断されれば早期に冠動脈の血流再開が必要になりますので、カテーテル等を緊急で行う必要があります。

2 大動脈解離

大動脈解離は心臓から全身へ血液を送る太い大動脈と呼ばれる血管にヒビが入ってしまう病態です。突然ヒビが入るため、急激な強い胸痛が生じます。また下行大動脈にも及ぶと背部痛、さらに下までヒビが拡大すると腰痛も生じることがあります。ヒビの具合によって痛みの部分が徐々に移動することがあります。一般的には動脈硬化によって生じることが多いため、生活習慣病がこちらもリスクにはなります。中には大動脈の組織が脆弱なために生じるマルファン症候群のこともあります。採血では血栓を表すDダイマーという値が高値になりますが、症状疑わしければその結果を待たず緊急で造影CTを行って診断をつけることが大事になります。部位によってA型かB型か判断し、その結果によって外科的に緊急での手術を行うか、内科的に降圧療法で保存的にみるか決まります。

3 肺塞栓症

下肢に出来た血栓が静脈を通って肺の血管に詰まってしまう病態です。突然詰まるため、急激な胸痛と、肺の血流が低下することで酸素が吸収出来にくくなることでの呼吸困難、酸素化低下があります。飛行機の狭い席に長時間座っている時に生じることがあるため、エコノミークラス症候群とも呼ばれます。下肢の静脈の流れが低下していれば生じうる可能性があるため、心不全で静脈圧が上昇している状態、足の浮腫が強い状態、長期で寝ている状態、また妊娠でも生じやすくなります。癌やエストロゲン治療をおこなっているなど血液を固める凝固能が亢進している状態でも生じうる可能性があります。酸素の吸収が低下するため酸素飽和度の低下を認めます。また右心系から左心系に血液が流れる肺の血管が詰まるためエコーでは肺高血圧を認めます。採血では血栓を表すDダイマーが上昇します。こちらも確定診断のために早期に造影CTを行い、血栓溶解療法を行う必要があります。

4 緊張性気胸

突然発症する片側の胸痛です。片方の肺が気胸を生じているため咳き込んだり、聴診では呼吸音が低下します。酸素飽和度も低下することが多くなります。若年の痩せ型男性に多く、喫煙、肺気腫、外傷で生じやすくなります。レントゲンで診断を行い、治療としては気胸側胸腔の圧を抜くために小さな管を入れてドレナージすることが必要になります。

その他の胸痛の原因となる病態

上記で説明した4つが緊急性を要する病態です。他に胸痛を生じるものとしては循環器疾患では狭心症、心膜炎、大動脈弁狭窄症、閉塞性肥大型心筋症などがあります。
狭心症は冠動脈が狭くなることで心臓の負担が大きくなる階段昇降時などに生じる労作性狭心症や、冠動脈に狭窄はないものの、一時的に冠動脈が痙攣して生じる冠攣縮性狭心症があります。心膜炎に関しては心臓の外側を覆っている心外膜とよばれる部分が何かしらの原因で炎症を生じることで痛みがでます。
大動脈弁狭窄症では心臓の血液の出口である大動脈が狭くなり、左心室はその部分を超えて血液を送り出さなくてはならないため力強く収縮しなくてはなりません。そのため左心室の血液需要が増えて、また冠動脈に回る血液量が低下することで相対的に狭心症のような胸痛症状が出現します。
閉塞性肥大型心筋症も同様で、圧較差の生じる部分の奥の左心室が過度に収縮するため胸痛が出現することがあります。