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心雑音と言われた

心雑音とは?

心雑音は聴診器を胸に当てた時に聞こえるザーザーと聞こえる音です。狭い部分を血液が流れたり、弁を逆流する際に音が発生します。

胸部では雑音を聴取できる部分は主に5つあります。

胸部では雑音を聴取できる部分は主に5つあります。
胸骨右縁第2肋間
(大動脈弁領域)
  • 収縮期雑音
    →大動脈弁狭窄症
胸骨左縁第2肋間
(肺動脈弁領域)
  • 収縮期雑音
    →肺動脈弁狭窄症、心房中隔欠損症、心内膜症欠損症、機能性雑音
③胸骨左縁第3肋間
(肺動脈弁領域)
  • 収縮期雑音
    →心室中隔欠損症、閉塞性肥大型心筋症
  • 拡張気雑音
    →大動脈弁閉鎖不全症、肺動脈弁閉鎖不全症
  • 連続性雑音
    →valsalva洞動脈瘤破裂
胸骨左縁第5肋間
(三尖弁領域)
  • 心室中隔欠損症
  • 三尖弁閉鎖不全症
⑤心尖部
  • 僧帽弁狭窄症
  • 僧帽弁閉鎖不全症

心雑音の強さはLevine分類を用います

Levine I 聴きうる雑音で最も弱くなっています
Levine II 弱いのですが聴診器を当てるとすぐに聴こえます
Levine III 中等度の雑音です
Levine IV 高度の雑音で、手で触れると震えを感じます
Levine V とても強く聴こえますが、聴診器を胸壁から離すと聴こえなくなります
Levine VI 聴診器を胸壁から離しても聴こえます

雑音の種類

1 収縮期雑音

  1. 収縮期駆出性雑音
    心室が収縮タイミングで聞こえる音が少しずつ強くなり、その後徐々に弱くなる雑音です。大動脈弁狭窄症や閉塞性肥大型心筋症、肺動脈弁狭窄症など狭い部分を通過する時に圧が高まって聴こえます。ただし、機能性雑音と呼ばれる異常ではない雑音もあります。主に若い方で聴取される生理的な雑音で、甲状腺機能亢進症や貧血など心拍出量が上昇した時に聴取されます。小児期に聴取される機能性雑音はstill雑音と呼ばれて成長とともに聴取されなくなります。
  2. 全(汎)収縮期雑音
    心室が収縮する際に聴取できる一定の強さの聞こえる雑音で、逆流する際に聞こえる音です。僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症、心室中隔欠損症で聴取できます。

2 拡張期雑音

  1. 拡張期早期雑音
    心室が広がる際に聞こえる雑音で最初は大きく、徐々に小さくなります。左心室が拡張する際では大動脈弁を逆流する大動脈弁閉鎖不全症、右心室が拡張する際には肺動脈から逆流する肺動脈弁閉鎖不全症で聴取します。
  2. 拡張期中期雑音
    心室が拡張する際に聞こえる低調音です。僧帽弁狭窄症や心房中隔欠損症で聴取します。
  3. 前収縮期雑音
    心房の収縮による雑音で、僧帽弁狭窄症で認められます。

3 連続性雑音

収縮期、拡張期まで続いて聴取できる雑音でvalsalva洞動脈瘤破裂など圧力の高い部分から低い部分へ持続的に流れるため連続して雑音を聴取します。

4 to and fro 雑音(往復雑音)

収縮期と拡張期ともに雑音を聴取できますが、別々の雑音で連続していません。別々の雑音が合わさったものであり、大動脈弁閉鎖不全症を合併した心室中隔欠損症や大動脈弁狭窄症を合併した大動脈弁閉鎖不全症などがあります。

3 心膜摩擦音

心臓の周りを覆っている膜が擦れる音です。急性心膜炎で聴取できます。