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心筋梗塞

心筋梗塞とは?

心臓の筋肉を栄養する血管は右冠動脈、左冠動脈前行枝、左回旋枝があります。

心筋梗塞とは?

この3本のうちどの血管においても動脈硬化が生じる可能性があります。
通常は血管自体もきれいで、その中を通っている血流もスムーズに流れています。
しかし血管壁内にプラークが出現してくると血管の内腔が圧排され狭窄してきます。
狭窄が進行して血流が徐々に低下して、心筋との必要とする需要血流と供給血流のバランスが崩れて生じることが狭心症でした。

心筋梗塞とは?2

心筋梗塞ではプラークの溜まっていて盛り上がっている血管壁の一部が突然破けてしまい、
その中のプラークが血管内に飛び出てきてしまいます。その部分に血小板が集まり急速に血栓を形成して血流が一気に遮断される状態となります。これを急性心筋梗塞といい、その血流が詰まった部分より先には血液が一瞬で流れなくなるためその部分の栄養されていた左室の心筋が血流不全に陥り、心筋壊死を生じてきます。その際に胸痛などの心筋梗塞の痛みを発症します。また心筋壊死している部分からは心室頻拍や心室細動といった致死的な不整脈が生じることもあるため、心筋梗塞発症によって突然死を発症する可能性があります。冠動脈の狭窄度としては25%,50%,75%,90%,99%というように表わしますが、以前は90%以上の高度狭窄から心筋梗塞が発症することが言われていましたが、最近では50%程度の中等度の狭窄からプラークが破綻して急性心筋梗塞を発症すると言われています。
心筋梗塞発症を予見することは難しく、突然の胸痛が出てきたらすぐに医療機関を受診し早期発見をすることと、原因となる高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満、睡眠時無呼吸症候群など動脈硬化のリスクをしっかりと普段からコントロールを行い、予防を行うことが大事になってきます。

心筋梗塞とは?3

症状は?

安静時に胸の痛み、圧迫感、重苦しい感じ、奥歯の痛み、顎の痛み、肩、腕、手の痛みなど幅広い症状が出ます。特徴としては労作性狭心症が体に負荷がかかる状況で症状が出ますが、心筋梗塞は基本的にはすでに血流が途絶えてしまっているため安静時もしくは軽労作時に症状が出現します。

種類は?

心筋梗塞は大きな括りでは
急性冠症候群の一つとして扱われます。

急性冠症候群

  1. 不安定狭心症(心筋逸脱酵素、トロポニンが陰性)
  2. 急性心筋梗塞(心筋逸脱酵素、トロポニンが上昇)
    ①ST上昇型心筋梗塞(STEMI)
    ②非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)
    心筋が壊れると出てくるトロポニンというものがまだ血液中で検出されない場合は不安定狭心症になります。冠動脈の造影では99%狭窄のことが多く、安静時か軽労作で胸部症状を認めることが多いです。
    トロポニンが陽性の場合には心筋が破壊されている証拠になりますので、胸痛の症状を伴っていれば急性心筋梗塞の診断になります。心電図でSTが上昇していればST上昇型心筋梗塞、STが上昇していなければ非ST上昇型心筋梗塞となります。時間が経過すると心筋が破壊されてCKMBが上昇し、その分心筋のダメージが残存してしまい後遺症が生じてしまいます。どちらにしても早期に診断を行い、カテーテル検査を行い詰まっている血管を確認して、早急な血流再開が必要になります。

検査

心電図

ST上昇心筋梗塞かどうか、再灌流してT波が陰転化していないかなど評価します。

心エコー

動きの悪い部分がないか確認します。

採血

心筋梗塞では冠動脈の血流が途絶えるため、冠動脈の栄養している心臓の細胞が壊れるため、心筋を構成している蛋白が血液中に漏れ出てきます。トロポニンと呼ばれる心筋逸脱酵素が早期に上昇してくるため、当院でもトロポニンを測定して心筋梗塞かどうか判断いたします。

治療

治療

治療しては、心筋梗塞は急激に発症し、その後も継続的に心筋に障害を与え続けてしまいますので、早急な冠動脈血流再開が必要になります。
ST上昇型心筋梗塞(STEMI)においては、治療出来る医療機関に来院してから治療して血流が再開するまでの時間をDoor to balloon timeと呼びますが90分以内が推奨されています。早急な治療が必要になるため胸痛があれば早めに御相談ください。治療が必要な場合には治療可能な病院へご紹介させていただきます。

脂質の管理

動脈硬化が原因となっているため、脂質の管理が重要になります。
心筋梗塞を起こしていない方の発症予防を一次予防、また心筋梗塞を発症し治療後の方が次に再度心筋梗塞を起こさないようにすることを二次予防と言います。
一次予防としては中リスクの方はLDL < 140mg/dL、高リスク、特に糖尿病があって末梢動脈疾患、細小血管症、慢性腎臓病、喫煙を合併されている場合にはLDL < 100mg/dLを目標にコントロールします。
二次予防としては急性冠症候群ではLDL<55mg/dLを目標とします。また狭心症や無症候性心筋虚血のステント治療後の慢性冠症候群であってもリスクがある方ではLDL<55mg/dLを目指します。そのリスクというのは糖尿病、慢性腎臓病、家族性高コレステロール血症、再発冠動脈疾患、多枝病変、左冠動脈主幹部、分岐部、3本以上のステント留置になります。

動脈硬化性疾患 LDL目標値(mg/dL)
冠動脈疾患 急性冠症候群 <55
慢性冠症候群 <70
<55(リスクがある場合)
アテローム血栓性脳梗塞 <70
末梢血管疾患 <70
全身性動脈硬化性疾患 <55