動脈硬化とは?
動脈硬化による疾患、特に心筋梗塞、狭心症などの冠動脈疾患を含む心疾患や脳梗塞などの脳血管障害による死亡は総死亡の約23% を占めており、癌による死亡と匹敵する死因となっています。そのため動脈硬化の予防と治療はさらに重要になってきています。
まず動脈硬化とは何か?
動脈硬化とは動脈壁の肥厚、改築、硬化、機能低下を示す動脈病変の総称です。分類としては以下になります。
- 粥状硬化(アテローム硬化)
中型〜大型の動脈にみられ、内膜の硬化、粥種、中膜肥厚などの特徴を持っています。虚血性心疾患、大動脈瘤や脳梗塞などを引き起こします。 - 中膜硬化
中型動脈にみられ、中膜の輪状石灰化が特徴的ですが、内腔は狭くなりません。 - 細動脈硬化
全身の細動脈にみられ、高血圧との関連が重要視されています。脳出血、腎硬化症、ラクナ梗塞などを生じます。
粥状硬化(アテローム硬化)の発生機序
様々な刺激作用で血管内皮細胞が障害や活性化されると血管内皮細胞に接着剤のような分子が出てきて血小板や単球がくっつきます。単球は内皮細胞の皮下に侵入してマクロファージに変化していきます。成長したマクロファージはLDLを取り込んで、泡沫細胞を形成してコレステロールを蓄積していきます。この泡沫細胞が集まることでプラークを形成します。血小板からは細胞分裂ペプチドホルモンが分泌されてプラークを囲むように血管平滑筋が内膜へ増殖します。血管の内側に溜まったプラークが破綻することで、その部位に血小板等が集まってきて血栓が出来上がり血管を閉塞します。その結果心筋梗塞や脳梗塞などを発症します。
動脈硬化を予防するためには
脂質、血圧、糖尿病のコントロールと生活習慣では禁煙、多量飲酒を避ける、肥満改善などが効果的です。
食事では?
1日の理想的な総エネルギー摂取量(kcal/日)は標準体重(身長×身長×22)×身体活動量(軽い:25〜30、普通:30〜35、重い:35〜)で計算されます。肥満解消の場合は総エネルギー摂取量=標準体重(kg)×25〜30(kcal)を目指します。総エネルギーのうち、炭水化物比率は50〜60%とし、糖質を多く含む菓子類、飲料、穀物の摂取を減らし、アルコール摂取量も25g/日以下に抑えましょう。果物や果糖含有加工食品の過剰摂取は中性脂肪を上昇させる可能性があるので注意しましょう。n-3系多価不飽和脂肪酸を多く含む魚類の摂取を増やしましょう。
LDLコレステロール値が高い人は食事のコレステロール制限とともに飽和脂肪酸制限が必要です。LDLコレステロール値が高い人はコレステロール摂取量を減らすこと、具体的には1日200mg未満に減らすことでLDLコレステロールの低下が期待できます。
コレステロールの多い食品(動物性のレバー、臓物類、卵類)は控えて、飽和脂肪酸(脂身のついた肉、ひき肉、鶏肉の皮、バター、ラード、やし油、生クリーム)やトランス脂肪酸の多い食品(マーガリン、洋菓子、スナック菓子、揚げ菓子)を控えましょう。食物繊維の多い食品である未精製穀類、大豆製品、野菜、海藻、きのこ、こんにゃくなどを増やしましょう。
血圧が高い場合には減塩を心がけましょう。高血圧の方では食塩は6g/日未満が推奨されています。
上記を考慮して動脈硬化を予防する食事のポイントとしては伝統的な日本食のイメージになります。
肉の脂身や動物脂(牛脂、ラード、バター)を控え、大豆、魚、野菜、海藻、きのこ、果物、未精製穀類を取り合わせます。また減塩にも注意します。加えて過食、アルコールの過剰摂取、マーガリン、ショートニング、これらを用いた揚げ物、菓子に含まれるトランス酸を控えて適正な体重の維持を心がけましょう。