「リポ蛋白(a)」と心血管リスク
30年間の追跡でわかった「リポ蛋白(a)」と心血管リスク
JAMA Cardiology に2026年1月7日オンライン掲載された研究(Women’s Health Study解析)では、健康な女性27,748人を約30年間追跡し、リポ蛋白(a)[Lp(a)]と将来の心血管疾患リスクとの関係が詳しく検討されました。
🔬 研究のポイント
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対象:心血管疾患やがんなどの既往がない健康な女性
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追跡期間:中央値27.8年
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評価項目:
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心筋梗塞
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脳卒中
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冠動脈疾患
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心血管死
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血液中のLp(a)値を測定し、将来の心血管イベントとの関連を解析しました。
📊 主な結果
▶ Lp(a)が高い人ほどリスク上昇
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30 mg/dL超または上位25%(75パーセンタイル)超
→ 心血管イベント・冠動脈疾患リスクが有意に1.16倍に増加 -
120 mg/dL超または上位1%(99パーセンタイル)超
→ リスクはさらに上昇
特に120 mg/dL超の群では:
| イベント | ハザード比 |
|---|---|
| 主要心血管イベント | 1.54倍 |
| 冠動脈疾患 | 1.80倍 |
| 虚血性脳卒中 | 1.41倍 |
| 心血管死 | 1.63倍 |
👉 非常に高値の人でリスク増加が顕著でした。
🧬 Lp(a)は「遺伝でほぼ決まる」
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Lp(a)値は主に遺伝で決定
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2歳以降はほぼ一定
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食事や運動ではほとんど下がらない
欧州系女性では、LPA遺伝子の特定タイプを持つ人でリスク増加が確認されました。
💊 治療について
現時点で:
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スタチン → Lp(a)は下がらない
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PCSK9阻害薬(例:アリロクマブ) → わずかに低下
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Lp(a)特異的治療薬 → 現在大規模試験が進行中
将来的に新しい治療選択肢が広がる可能性があります。
🧪 他のリスク因子との関係
Lp(a)は:
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LDLコレステロール
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高感度CRP(炎症マーカー)
と並ぶ独立した心血管リスク因子です。
特に
👉 「Lp(a)高値 × LDL高値 × 炎症高値」
の組み合わせで最も強いリスク層別化が可能でした。
📝 ガイドラインの位置づけ
American College of Cardiology やEuropean Atherosclerosis Society は、
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Lp(a) 50 mg/dL以上をリスク増強因子と認識
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家族歴がある方や既存リスクを持つ方では測定を推奨
としています。
🏥 臨床的メッセージ
✅ Lp(a)が非常に高い女性では、30年間の心血管リスクが有意に上昇
✅ 一般集団でもスクリーニングの意義が示唆
✅ 現時点では「リスク評価」に活用することが重要
🍀 生活習慣は無意味?
いいえ。
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Lp(a)自体は下がらなくても
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LDLコレステロールや炎症は改善できる
そのため:
✔ 食事改善
✔ 運動
✔ 禁煙
✔ 体重管理
は引き続き非常に重要です。
🎯 まとめ
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Lp(a)は遺伝的に決まる強力なリスク因子
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特に120 mg/dL超は要注意
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将来、新規治療薬が予防戦略を変える可能性
「家族に若くして心筋梗塞を起こした人がいる」
「原因不明でコレステロールが高い」
そのような場合は、Lp(a)測定を検討する価値があります。


