アメリカの高血圧ガイドライン改定、代替塩とは???
2025.10.31
🩺 2025年 高血圧ガイドラインの主な変更点
Circulation. 2025; 152: e114-e218.
2025年の米国心臓協会(AHA)と米国心臓病学会(ACC)の新しい高血圧ガイドラインは、
2017年版から8年ぶりの改訂となり、生活習慣・リスク評価・薬物治療の面でいくつかの重要な変更がありました。
🔹 主な変更ポイント(旧2017年との違い)
| 項目 | 2017年ガイドライン | 2025年ガイドライン |
|---|---|---|
| 治療開始の基準 | 10年心血管リスク ≥10% かつ 130/80mmHg以上 | PREVENT™スコアを用い、リスク ≥7.5%で薬物治療推奨(より早期介入へ) |
| ステージ分類 | 正常 <120/80、ステージ1=130–139/80–89 | 同じ分類を維持 |
| 薬物開始時期 | 140/90以上、または高リスクで130/80以上 | 130/80以上で薬物開始をより積極的に推奨 |
| 合併症別管理 | 糖尿病ではACEi/ARBを「考慮」 | CKDや軽度アルブミン尿でもACEi/ARBを推奨 |
| 家庭血圧測定 | 推奨 | チーム医療・遠隔支援と組み合わせて推奨強化 |
| 塩分摂取 | DASH食と減塩推奨 | 「カリウム含有代替塩(代替塩)」を新たに明確に推奨(Class 2a) |
| 高血圧妊娠管理 | 160/110以上で治療 | 140/90以上でも治療開始推奨に変更 |
👉 要点まとめ
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血圧目標は依然として「130/80 mmHg未満」。
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生活習慣改善+薬物治療の早期導入をより重視。
-
特に代替塩の活用が新たに正式に推奨。
🧂 代替塩(カリウム塩)とは?
💡 何が「代替」なの?
通常の食塩(NaCl)の一部を**塩化カリウム(KCl)**などに置き換えたもの。
ナトリウム摂取を減らしつつ、血圧を下げる効果が期待されます。
日本で入手できる代表的な代替塩
| 商品名 | 主成分 | 特徴 |
|---|---|---|
| やさしお(味の素) | 塩化ナトリウム+塩化カリウム | Naを約50%カット、スーパーでも入手可 |
| 減塩タイプ伯方の塩 | 塩化ナトリウム+塩化カリウム | まろやかな味で料理に使いやすい |
| ローソルト(LO-SALT) | 約70%がKCl | 海外でも使用実績多い |
| カリウム塩(業務用) | 塩化カリウム100% | 専門施設・業務用で利用されることが多い |
📊 代替塩の効果
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世界的なメタ解析では、
代替塩の使用により収縮期血圧を約4〜5mmHg、拡張期を約2mmHg低下。
心血管疾患や脳卒中のリスクも減少することが示されています。 -
日本人を対象にした研究でも、1日あたりのNa摂取を2〜3g減らす効果がありました。
⚠️ 注意点
| 注意対象 | 理由 |
|---|---|
| 腎機能が低下している方 | カリウムが体にたまり、高カリウム血症を起こす危険あり |
| ACE阻害薬・ARB・スピロノラクトンなど服用中の方 | これらもカリウムを上げやすいため、併用に注意 |
| 味の違い | 少し苦味や金属っぽい風味があるため、料理に合わせて工夫を |
👉 つまり、「腎臓が健康な方」には日常の減塩サポートとして有効な選択肢です。
🥗 実践アドバイス
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「卓上塩」だけでなく、調味料や加工食品からの塩分を減らす意識を。
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カリウム塩は家庭調理中心の方に特に有効。
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高血圧の方は、医師に相談のうえで代替塩を使用しましょう。
🏁 まとめ
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2025年ガイドラインでは「代替塩の活用」が正式に推奨へ。
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食事療法の第一歩は「塩分の質」を見直すこと。
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腎臓が正常な方では、無理なく血圧を下げる実践的な方法です。

