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アメリカの高血圧ガイドライン改定、代替塩とは???

🩺 2025年 高血圧ガイドラインの主な変更点

                         Circulation. 2025; 152: e114-e218.

2025年の米国心臓協会(AHA)と米国心臓病学会(ACC)の新しい高血圧ガイドラインは、
2017年版から8年ぶりの改訂となり、生活習慣・リスク評価・薬物治療の面でいくつかの重要な変更がありました。

🔹 主な変更ポイント(旧2017年との違い)

項目 2017年ガイドライン 2025年ガイドライン
治療開始の基準 10年心血管リスク ≥10% かつ 130/80mmHg以上 PREVENT™スコアを用い、リスク ≥7.5%で薬物治療推奨(より早期介入へ)
ステージ分類 正常 <120/80、ステージ1=130–139/80–89 同じ分類を維持
薬物開始時期 140/90以上、または高リスクで130/80以上 130/80以上で薬物開始をより積極的に推奨
合併症別管理 糖尿病ではACEi/ARBを「考慮」 CKDや軽度アルブミン尿でもACEi/ARBを推奨
家庭血圧測定 推奨 チーム医療・遠隔支援と組み合わせて推奨強化
塩分摂取 DASH食と減塩推奨 「カリウム含有代替塩(代替塩)」を新たに明確に推奨(Class 2a)
高血圧妊娠管理 160/110以上で治療 140/90以上でも治療開始推奨に変更

👉 要点まとめ

  • 血圧目標は依然として「130/80 mmHg未満」。

  • 生活習慣改善+薬物治療の早期導入をより重視。

  • 特に代替塩の活用が新たに正式に推奨。


🧂 代替塩(カリウム塩)とは?

💡 何が「代替」なの?

通常の食塩(NaCl)の一部を**塩化カリウム(KCl)**などに置き換えたもの。
ナトリウム摂取を減らしつつ、血圧を下げる効果が期待されます。


 日本で入手できる代表的な代替塩

商品名 主成分 特徴
やさしお(味の素) 塩化ナトリウム+塩化カリウム Naを約50%カット、スーパーでも入手可
減塩タイプ伯方の塩 塩化ナトリウム+塩化カリウム まろやかな味で料理に使いやすい
ローソルト(LO-SALT) 約70%がKCl 海外でも使用実績多い
カリウム塩(業務用) 塩化カリウム100% 専門施設・業務用で利用されることが多い

📊 代替塩の効果

  • 世界的なメタ解析では、
    代替塩の使用により収縮期血圧を約4〜5mmHg、拡張期を約2mmHg低下
    心血管疾患や脳卒中のリスクも減少することが示されています。

  • 日本人を対象にした研究でも、1日あたりのNa摂取を2〜3g減らす効果がありました。


⚠️ 注意点

注意対象 理由
腎機能が低下している方 カリウムが体にたまり、高カリウム血症を起こす危険あり
ACE阻害薬・ARB・スピロノラクトンなど服用中の方 これらもカリウムを上げやすいため、併用に注意
味の違い 少し苦味や金属っぽい風味があるため、料理に合わせて工夫を

👉 つまり、「腎臓が健康な方」には日常の減塩サポートとして有効な選択肢です。


🥗 実践アドバイス

  • 「卓上塩」だけでなく、調味料や加工食品からの塩分を減らす意識を。

  • カリウム塩は家庭調理中心の方に特に有効。

  • 高血圧の方は、医師に相談のうえで代替塩を使用しましょう。


🏁 まとめ

  • 2025年ガイドラインでは「代替塩の活用」が正式に推奨へ。

  • 食事療法の第一歩は「塩分の質」を見直すこと。

  • 腎臓が正常な方では、無理なく血圧を下げる実践的な方法です。