前糖尿病を「正常に戻す」ことが、将来の心不全・心血管死を大きく減らす(LANCET)
【最新研究】前糖尿病を「正常に戻す」ことが、将来の心不全・心血管死を大きく減らす
― LANCET 糖尿病・内分泌学誌(2026年2月号)掲載 ―
ポイント要約
前糖尿病を「改善」するだけでなく、「正常血糖に戻す(寛解)」ことが、
20~30年後の心不全や心血管死を約50%減らすことが示されました。
研究の背景
前糖尿病は、
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動脈硬化
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心不全
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心血管死亡
のリスクが高いことが知られています。
これまでの生活習慣改善(減量・運動)は
糖尿病発症予防には有効でしたが、
心血管イベントを長期的に減らせるかは不明とされてきました。
そこで今回の研究では、
👉 「前糖尿病が正常血糖に戻った人(寛解)」に注目
👉 心不全や心血管死亡が本当に減るのか
を検証しました。
研究デザイン
アメリカと中国の2つの超長期研究を解析した、非常に信頼性の高い解析です。
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DPPOS(米国):約20年追跡
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DaQing研究(中国):約30年追跡
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対象:前糖尿病の成人 約3,000人
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前糖尿病「寛解」=
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空腹時血糖 <100 mg/dL
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HbA1c <5.7%
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75gOGTT正常
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主な結果(とても重要です)
① 心血管死+心不全入院
前糖尿病が正常血糖に戻った人は、
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リスクが約50~60%低下
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米国研究:HR 0.41
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中国研究:HR 0.49
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👉 20~30年後でも効果が持続(レガシー効果)
② 心不全の発症
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心不全入院リスクが 約60~90%低下
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特に心不全予防効果が顕著
③ 全死亡
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全死亡リスクも約40~45%低下
重要なポイント:体重減少だけではない
この研究で注目すべき点は、
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体重減少が同程度でも
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「正常血糖に戻った人」だけが心血管リスク低下
つまり、体重をへらすことより「血糖を正常行きに戻す」こと自体が重要
と考えられます。
背景には、
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インスリン抵抗性の改善
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内臓脂肪の減少
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慢性炎症の低下
などが関与していると考えられています。
実臨床でのヒント
この研究では、
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空腹時血糖97 mg/dL以下に達した人でも
心血管リスク低下が確認されました。
👉 日常診療で使いやすい
👉 現実的な目標値
まとめ
✔ 前糖尿病は「様子見」でよい状態ではない
✔ 生活習慣改善の目標は
「糖尿病を防ぐ」だけでなく
「正常血糖に戻すこと」
✔ それが将来の
心不全・心血管死を半分に減らす可能性
当院からのメッセージ
前糖尿病や境界型糖尿病は、
将来の心不全・心筋梗塞の“入口”です。
当院では、
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心臓専門医の視点から
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血糖・血圧・脂質・体重を総合的に評価し
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心臓を守るための前糖尿病管理を行っています。
👉 健診で血糖を指摘された方
👉 心臓病が心配な方
👉 本気で将来のリスクを下げたい方
ぜひ一度ご相談ください。


