動脈硬化学会から「LDLより厳格にコントロール」と提言!
動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の再発予防
LDLコレステロール管理の新しい考え方(2025年 日本動脈硬化学会)
2025年12月、日本動脈硬化学会から
「ASCVD(二次予防)における脂質管理」に関する新しいコンセンサスが発表されました。
これは、心筋梗塞や脳梗塞などを一度起こした方が、再発を防ぐためにどこまでLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を下げるべきかを示した重要な提言です。
対象となる病気(ASCVD)
今回の提言では、次の疾患が対象です。
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冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症など)
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アテローム血栓性脳梗塞
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末梢動脈疾患(足の血管の動脈硬化)
病態別のLDLコレステロール目標値

● 心筋梗塞・不安定狭心症など(急性冠症候群:発症1年以内)
👉 LDL-C 55 mg/dL 未満
● 安定した狭心症・心筋梗塞後1年以上(慢性冠症候群)
👉 LDL-C 70 mg/dL 未満
※以下のような再発リスクが非常に高い方では
👉 55 mg/dL 未満を目標にすることも考慮されます。
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家族性高コレステロール血症がある
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心筋梗塞を2回以上経験している
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重症の冠動脈疾患がある
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脳梗塞や末梢動脈疾患も合併している(全身の血管病変)
● 脳梗塞・末梢動脈疾患
👉 LDL-C 70 mg/dL 未満
これまでの日本のガイドラインとの違い
これまでの日本のガイドラインでは、
二次予防のLDL-C目標は 100 mg/dL 未満が基本でした。
今回のコンセンサスでは、
👉 さらに厳しく下げることで再発をより防げる
という最新の研究結果を踏まえ、
一段階低い目標値が示されています。
なぜ、ここまで下げるのか?
近年の研究により、
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LDLコレステロールは
「下げれば下げるほど、再発リスクが下がる」 -
スタチンに加え、
エゼチミブやPCSK9阻害薬を併用することで
より安全に強力な脂質管理が可能
であることが分かってきました。
欧米のガイドラインではすでに、
今回と同様の厳格な目標値が採用されています。
注意点・今後の課題
一方で、次の点については今後の検討課題とされています。
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日本人に特化したデータはまだ十分ではない
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超高齢者への適用は個別判断が必要
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費用対効果の評価は今後の課題
当院での考え方
当院では、
最新のエビデンスと患者さん一人ひとりの状態を踏まえ、
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年齢
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合併症
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副作用のリスク
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生活背景
を考慮しながら、
無理のない、かつ再発予防に効果的な脂質管理を行っています。
ご自身のLDLコレステロール目標について気になる方は、
お気軽にご相談ください。
参考文献
Tanaka E, et al. Lipid Management for Secondary Prevention in Atherosclerotic Cardiovascular Disease: A Scoping Review and Scientific Report. J Atheroscler Thromb. 2025 Dec 22, doi: 10.5551/jat.65908. Online ahead of print.


