心機能の保たれた心筋梗塞後はやはりβ遮断薬いらない!かも
-
🫀 心筋梗塞後、心機能が保たれている方にβ遮断薬は必要?
―左室駆出率50%以上と心機能の保たれている心筋梗塞後の患者を対象としたβ遮断薬の有用性の最新メタ解析 ―
心筋梗塞後の治療では、β遮断薬は長年「標準治療」とされてきました。
特に心不全を伴う患者さんでは、生命予後を改善することが明らかになっています。一方で近年、心機能が保たれている患者さんでも同じ効果があるのかが改めて検討されています。
🔬 論文の概要
-
研究デザイン
心筋梗塞後で 左室駆出率(LVEF)50%以上 の患者を対象とした
ランダム化比較試験(RCT)4試験のメタ解析 - ①REBOOT-CNIC(N Engl J Med 2025; 393: 1889-1900)、②BETAMI-DANBLOCK(N Engl J Med 2025; 393: 1901-1911)、③CAPITAL-RCT(PLoS One 2018; 13: e0199347)、④REDUCE-AMI(N Engl J Med 2024; 390: 1372-1381)
-
対象患者
・心筋梗塞後
・LVEF ≥50%(心機能が保たれている)
・現代的治療(PCI、スタチン、ACE阻害薬など)を受けている患者 -
比較
β遮断薬投与群 vs 非投与群
📊 主な結果
-
全死亡
-
心筋梗塞の再発
-
心血管死
-
心不全入院
これらの主要心血管イベントについて、β遮断薬による有意な抑制効果は認められませんでした。
👉 心機能が保たれている心筋梗塞後患者では、β遮断薬の予後改善効果は限定的
という結果でした。
🧠 なぜこの結果が重要なのか
β遮断薬の有効性が確立された研究の多くは、
✔ 心不全を合併
✔ 左室機能が低下
✔ 再灌流治療が普及する以前といった、現在とは治療背景が異なる時代のデータが中心でした。
本研究は、
-
PCIが普及
-
スタチンやRAAS阻害薬が標準使用
という 「現代医療下」 において、
LVEFが保たれた患者では必ずしもβ遮断薬が必須ではない可能性を示しています。 - カテーテルでの早期の血行再建術や最適な薬物療法を含む心筋梗塞治療の進歩により、従来のβ遮断薬の効果が減弱している可能性があります。
- ただ今回はメタ解析であるため、今後は大規模試験でLVEFが保たれた患者における最適な薬物戦略を明確にする必要があります。
🩺 臨床的メッセージ
-
β遮断薬が今も重要な患者
-
心不全を合併している
-
左室駆出率が低下している
-
頻脈・不整脈・狭心症を伴う場合
-
-
一方で
-
心機能が保たれ
-
症状がなく
-
血行再建・薬物治療が十分行われている患者
-
では、漫然とした長期投与は再考の余地があると考えられます。
-
私見:今まで本当にアーチスト、メインテートなどといったβブロッカーという薬は悪くなった心臓を良くする薬として学んできていました。30年近く前までは心臓を刺激するβ刺激薬やジゴキシンが使われていて、むしろ弱った心臓にさらに弱くするβブロッカーなんて使うな!なんて時代もありました。その後βブロッカーを使うことで心臓の疲れを取ってくれて徐々に改善させる効果があることがわかって心不全や心筋梗塞後で第一選択で用いられるようになりました。EF 50%以上の心機能が保たれたという条件はありますが、今まで普通に心筋梗塞後に使ってきていた薬に対して2025年年末から、このような心機能が保たれた心筋梗塞後にβブロッカーが効果ないですよという論文がどんどん出始めました。しばらくはこの流れは続いていくのでしょう。医療費の上がっているこの時代に不要な薬は必要ないということもあるのでしょう。常識が変わる論文はとても興味深いですね。
-
🏥 久我山ハートクリニックからのメッセージ
当院では、
「心筋梗塞後=一律に同じ治療」ではなく、
心機能・症状・リスクを評価した個別化治療を大切にしています。β遮断薬についても、
-
本当に必要か
-
継続すべきか
-
減量・中止が可能か
を最新エビデンスに基づいて判断しています。
心筋梗塞後の治療やお薬について不安がある方は、
ぜひ久我山ハートクリニックへご相談ください。 -


