心臓カテーテルのステントの種類での評価:Abluminus DES vs Everolimus溶出ステント(Lancet)
📌 論文タイトル(要旨ベース)
インドの新しいAbluminus DES+ シロリムス溶出ステント vs. 従来のアボット社のEverolimus溶出ステント:糖尿病患者の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)における多施設ランダム化比較試験になります
Lancet. 2026 Jan 17;407(10525):227-236.
🧠 研究の背景
糖尿病患者は冠動脈疾患に対するステント治療後の再狭窄や心血管イベントのリスクが高いことが知られています。新しいデバイスの設計(薬剤コーティングやポリマー等)による治療効果の向上が期待されており、本試験では Abluminus DES+(シロリムス溶出ステント) が、標準治療の XIENCE(Everolimus溶出ステント) と比較して安全性・有効性で非劣性を示すかを評価しました。
🧪 方法
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対象:糖尿病(1型または2型)を有しPCIが必要な成人患者
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デザイン:多国間・多施設・前向き・オープンラベルのランダム化比較試験
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割付:Abluminus DES+ vs. XIENCE Everolimusステント(1:1)
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主要評価項目:
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虚血誘発性ターゲット病変再血行再建(ID-TLR)
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ターゲット病変不全(TLF:心血管死+TV-MI+ID-TLR)
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フォローアップ:12ヵ月を主要評価、24ヵ月まで追跡あり
📊 主な結果
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3032人が登録され、ほぼ全例が追跡完了
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12ヵ月時点で、Abluminus DES+ は XIENCEに対して非劣性を証明できなかった
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ID-TLR:Abluminus 4.8% vs XIENCE 2.1%
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TLF:Abluminus 9.7% vs XIENCE 6.2%
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非劣性の統計的基準を満たさず、逆にリスク差が示唆された
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副次評価では、Abluminus群で TV-MI(心筋梗塞)発生率がやや高い傾向 が認められた
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心血管死・全死亡は両群で有意差なし
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24ヵ月時点のフォローアップでも同様の傾向が継続した
🔍 結論
本試験の結果から、Abluminus DES+ シロリムス溶出ステントは、糖尿病患者のPCIにおいて標準的な Everolimus溶出ステントに対して非劣性を証明できなかったことが示されました。特に早期の心血管イベント(再血行再建や心筋梗塞)がやや多かったことから、さらなるデバイス改良や補助療法の検討が必要であると考えられます。
🏁 研究インパクト(ポイント)
✔ 糖尿病患者の冠動脈ステント治療において、より良い治療戦略が依然として必要であることを示す
✔ 新型ステントの性能評価には、臨床アウトカムを重視した比較試験が不可欠である
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私見:
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Abluminus DESはインド発の生体吸収性ポリマー・シロリムスDESです。
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ただし、糖尿病患者PCIではエベロリムスDES(XIENCE)に対する非劣性は示せず、 現時点では 標準治療を置き換えるエビデンスには至っていません
- Xienceはアボット社の冠動脈の薬剤溶出性ステントですが、発売から15年以上経過しています。
- 日々改良はされており、以前よりさらに進化はしておりますが、それでも初期のステントが未だに第一線で良いデータが得られることに驚きます。
- 自分の治療させていただいた患者様も基本的にはこのXienceを用いられていただいていることが多くなっています。ほかにも良いステントは出ており日本からも「テルモ」のUltimasterなどがあります。各社しのぎを削ってより良いステントを作り上げていただけるとありがたいと感じます。
- 循環器を長年やってきて思うのはそれでもやはりアボットのXienceはすごいの一言ですね。今回のデータもあっぱれですね。


