最新の「心不全予防のステートメント」が発表されました
🫀 心不全予防ステートメント2026年2月
🌟 今回のステートメントの位置づけ
今回の改訂は、「心不全になってから治療する」のではなく、
“なる前に止める” ことを徹底する内容です。
特に
▶ ステージA(リスク段階)
▶ ステージB(前心不全)
に重点を置いた、非専門医でも実践できる具体的フローチャートが示されたことが大きな特徴です。
🏷 まず「ステージA・B」とは?
心不全は、いきなり発症する病気ではありません。
心不全はステージA→ステージB→ステージC→ステージDと段階的に進行します。
以下のように左のステージAから徐々に進行するため早期に発見し、ステージが進行しないように予防することがとても重要になります。

2025年心不全診療ガイドラインより引用
🟢 ステージA(心不全リスク段階)
🟡 ステージB(前心不全)
症状はないが、心臓に異常が出始めている段階
具体例
-
左室肥大
-
LVEF < 50%
-
弁膜症
-
心筋梗塞の既往
-
心房細動
-
BNP高値
👉 息切れなどはまだない
👉 しかし“すでに心臓は傷み始めている”
ここで止められるかどうかが分かれ道です。
🔄 今回の新ステートメントのポイント
🎯 テーマは「前で止める」
心不全(ステージC)になる前に
ステージA・Bで徹底介入することを強調しています。
🔄 何が変わったのか?
① BNP/NT-proBNPを使った“前心不全”の早期発見を強調
今回の最大のポイントは
「定期的なBNP/NT-proBNP測定を軸にした管理」
▶ ステージA
・少なくとも 年1回測定
▶ ステージB
・少なくとも 年2回測定
・高値なら専門医連携
基準値の明確化:
-
BNP ≥ 35 pg/mL
-
NT-proBNP ≥ 125 pg/mL
👉 数値で「前心不全」を定義した点が明確化
これは2023年のBNPステートメントを踏まえ、
“バイオマーカー主導の予防戦略”をさらに強調した形です。
② ステージAの薬物介入がより積極的に
以前よりも明確に、
👉生活習慣だけではなく「薬物で予防する」
という姿勢が強調されています。
特に重視された薬剤:
-
SGLT2阻害薬
-
GLP-1受容体作動薬
-
GIP/GLP-1受容体作動薬
-
フィネレノン
つまり、
💡 「糖尿病薬=血糖を下げる薬」ではなく「心不全を防ぐ薬」という位置づけ
がはっきり示されました。
具体的には
糖尿病+心血管病リスク:SGLT2 阻害薬、GLP-1受容体作動薬、GIP/GLP-1受容体作動薬
冠動脈疾患:スタチン
💡慢性腎臓病との連携を強化
糖尿病+慢性腎臓病
非糖尿病+慢性腎臓病(蛋白尿あり)
に対して、
糖尿病+CKD :ACE阻害薬/ARB、SGLT2 阻害薬、フィネレノン、GLP-1受容体作動薬
非糖尿病+CKD(蛋白尿):ACE阻害薬/ARB、SGLT2 阻害薬
👉 腎機能低下=心不全ハイリスクと明確化
さらに
eGFRが下がっても一律中止しない
という実践的メッセージも明示されました。
💡肥満への本格的介入
BMI27以上+動脈硬化性心血管病に対してGLP-1受容体作動薬を推奨。
特に
-
アジア人はBMI30未満でもリスクが高い
-
BMI27–30でも心不全リスクはBMI30以上と同等
という点を明記。
👉 肥満は“見た目の問題”ではなく心不全リスク因子
と強調されています。
💡血圧目標をより明確に
診察室血圧
▶ 130/80 mmHg 未満
家庭血圧
▶ 125/75 mmHg 未満
可能であれば
▶ 家庭血圧120 mmHgを目標
👉 より厳格なコントロールで「前心不全」を防ぐ姿勢
③ ステージBの薬物療法
💡血圧はより厳格に
目標:130/80 mmHg未満(家庭125/75未満)
特に推奨される薬剤:
-
ACE阻害薬/ARB
-
サイアザイド系利尿薬
-
β遮断薬(LVEF低下例)
-
ARNI(適応を考慮)
🔎 今回の力点
✔ 「単剤で様子を見る」ではなく早期併用
✔ クリニカルイナーシャの回避(なんとなくで同じ薬を盲目的に何年も継続するのはやめましょう)
✔ BNPが高ければ専門医連携
💡 LVEF < 50%では“予防的に治療”
エビデンスは限定的ながら、
-
ACE阻害薬/ARB
-
β遮断薬
の使用を積極的に検討。
👉 「症状が出てから」ではなく
👉 「無症候のうちに開始」
という姿勢がより明確に。
💡 糖尿病合併例は“心不全予防重視”
SGLT2阻害薬
GLP-1受容体作動薬
GIP/GLP-1受容体作動薬
は、ステージBでも積極的に検討。
🔎 今回の変化
「血糖中心」から
👉 “心不全を防ぐ薬を優先”へ明確化
💡糖尿病+ 慢性腎臓病合併例では併用が基本
ACE阻害薬/ARB
+ SGLT2阻害薬
+ フィネレノン
+ GLP-1受容体作動薬
🔎 強調点
✔ eGFRが下がっても一律中止しない
✔ initial dipを理解して使う
✔ 腎臓と心臓を同時に守る
💡 心房細動では“早期リズムコントロール”に注目
心房細動は心不全リスクを2〜5倍に増加。
今回のメッセージ:
✔ 早期専門医紹介
✔ アブレーションも選択肢
✔ レートコントロールなら心拍110/分未満
🔎 力を入れている点
「放置しない」ことを強調
💡 BNP/NT-proBNPの“経時変化”を見る
BNPの“経時変化”を見る
ステージBでは
▶ 少なくとも年2回測定
▶ 数値悪化はリスク上昇サイン
👉 単回値より“推移”を重視
🎯 今回のステージBで最も強調されたこと
1️⃣ 無症候でも治療を始める
2️⃣ BNP/NT-proBNPで数値管理する
3️⃣ 生活習慣+薬物を同時強化
4️⃣ 早期に専門医と連携
5️⃣ 多疾患(糖尿病・CKD・肥満)を同時管理
🏥 HP向けまとめ文章(そのまま掲載可)
心不全は、症状が出る前から進行しています。
ステージB(前心不全)は、
「まだ苦しくない」けれど
「すでに心臓に変化が起きている」段階です。
今回のステートメントでは、
-
血圧をより厳格に管理
-
BNPで定期評価
-
糖尿病や腎臓病の治療を“心不全予防中心”に
-
心房細動は早期治療
-
必要に応じて専門医と連携
といった、積極的な予防介入が強調されています。
⑥ 専門医連携を前提にした設計
今回のステートメントは、
-
非専門医がスクリーニング
-
BNPでリスク層別化
-
早期に循環器専門医へ紹介
という地域連携型の構造。
🎯 今回のステートメントが力を入れていること
1️⃣ 心不全を“診断する前”に止める
2️⃣ BNPを活用した数値管理
3️⃣ 糖尿病・CKD・肥満の徹底管理
4️⃣ 多職種・専門医連携
5️⃣ 生活習慣+薬物の両輪
🏥 久我山ハートクリニックより患者様へ
心不全は突然起こる病気ではありません。
✔ 高血圧
✔ 糖尿病
✔ 腎臓病
✔ 肥満
これらが長く続くことで、静かに進行します。
今はまだ症状がなくても、
血液検査(BNP,NT-proBNP)で早期発見できる時代です。
当院では、
-
定期的なBNP測定
-
心不全予防を意識した糖尿病治療
-
CKDと心臓を同時に守る治療
-
早期専門医連携
を通じて、心不全になる前に防ぐ医療を行っています。高血圧や脂質異常症だからといって甘く見てなんとなく治療するのではなく、その先を見据えた、10年後、20年後の自分のために、またご家族のためにもしっかりと早期に診断して、予防効果のあるデータに基づいたしっかりとした治療をしましょう。


