肥大型心筋症の新しい治療薬「アフィカムテン」の長期効果(European Heart Journalより)
肥大型心筋症の新しい治療薬「アフィカムテン」の長期効果
― 最新研究より ―
欧州心臓病学会誌(European Heart Journal)に、閉塞性肥大型心筋症(oHCM)に対する新しい薬「アフィカムテン」の長期効果を調べた研究が報告されました。
肥大型心筋症とは
肥大型心筋症は、心臓の筋肉が厚くなりすぎる病気で、次のような症状が出ることがあります。
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息切れ
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動悸
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胸の痛み
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失神
特に「閉塞性肥大型心筋症」では、心臓から血液が出ていく通り道(左室流出路)が狭くなるため、症状が強くなりやすいのが特徴です。
従来の治療は
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β遮断薬
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カルシウム拮抗薬
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心臓の筋肉を減らすカテーテル治療や手術
などが中心でした。
新しい薬「アフィカムテン」
アフィカムテンは、心臓の収縮を起こす「ミオシン」というタンパク質の働きを調整する薬です。
肥大型心筋症では心臓が収縮しすぎる(過収縮)状態になっているため、
この薬で収縮を適度に抑えることで 血液の流れを改善します。
研究の概要
296人の閉塞性肥大型心筋症患者を対象に、
アフィカムテンの長期使用の効果と安全性が調べられました。
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平均年齢:61歳
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追跡期間:約1年(中央値51.6週)
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累計観察:352患者年
主な結果
① 心臓の詰まり(流出路狭窄)が大きく改善
心臓から血液が出る通り道の圧較差は
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約 56〜62 mmHg改善
と大きく低下しました。
つまり、心臓から血液が流れやすくなったことを意味します。
② 症状が大きく改善
息切れなどの重症度(NYHA分類)は
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69%(12週)
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93%(96週)
で少なくとも1段階改善しました。
生活の質を評価するスコア(KCCQ)も
約15〜16点改善していました。
③ 心臓機能はほぼ保たれた
心臓のポンプ機能(EF)は
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約 3〜5%の軽度低下のみ
で、大きな低下は認めませんでした。
④ 安全性も良好
重い副作用は少なく
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EF低下 <50%:3.4%
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新規心房細動:2.4%
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死亡例なし
でした。
この研究のポイント
この研究からわかったことは
✔ 心臓の詰まりを大きく改善
✔ 息切れなどの症状が改善
✔ 心機能への影響は小さい
✔ 長期使用でも安全性は良好
という点です。
まとめ(Take home message)
肥大型心筋症の治療はこれまで限られていましたが、
ミオシン阻害薬という新しいタイプの薬の登場により、治療の選択肢が広がってきています。
今後は
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薬で症状をコントロールできる患者さん
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手術やカテーテル治療を避けられる患者さん
が増える可能性があります。
閉塞性肥大型ですでにβブロッカー、カルシウム拮抗薬、Naチャネル遮断をすでに使っていて、それでも息切れが残存するのであればミオシン阻害薬は有効な手段になります。自分の患者さんも実際に開始してとても圧較差も症状も改善しています。わからないことがあれば一度ご相談ください。


