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胃薬(プロトンポンプ阻害薬)の長期使用と胃がんリスクは関連なし!?

心筋梗塞、狭心症  / 腫瘍

胃薬(プロトンポンプ阻害薬)の長期使用と胃がんリスク

― これまでの議論と最新研究 ―


 これまでの流れ

近年、胃酸を強く抑える薬(プロトンポンプ阻害薬)を長期間使うと胃がんのリスクが高まるのではないかという報告が相次ぎました。

いくつかのまとめ研究(メタ解析)では、
「長期使用で胃がんリスクが約2倍になる可能性」
という結果も示され、臨床現場でも不安の声が広がりました。

しかしその一方で、次のような問題点も指摘されていました。

  • 胃がんの前兆症状があったために薬が処方された可能性(因果関係の逆転)

  • ヘリコバクター・ピロリ感染の影響が十分に調整されていない

  • 喫煙や肥満など他の危険因子の影響

つまり、「本当に薬が原因なのか?」という点ははっきりしていませんでした。

こうした背景から、より厳密な方法で検証する研究が求められていました。


 北欧5か国による大規模研究(2026年)

デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの全国データを用いた大規模研究が発表されました。

Long term use of proton pump inhibitors and risk of stomach cancer: population based case-control study in five Nordic countries. BMJ (Clinical research ed.). 2026 Jan 21;392;e086384. pii: e086384.

【研究の内容】

  • 胃の腺がん(特に胃の下部にできるタイプ)の患者さん 約17,000人

  • 年齢や性別などを合わせた対照群 約17万人

  • 1年以上この薬を使用していたかどうかを調査

  • がん診断直前1年の使用は除外(逆転現象を防ぐため)

  • ピロリ菌治療歴、喫煙関連疾患、肥満、糖尿病なども統計的に調整


 結果

👉 1年以上の長期使用と胃がんリスクの上昇は関連しませんでした。

リスクはほぼ「1.0」であり、
「使っていた人と使っていない人で差はみられなかった」という結果でした。

また、別の胃酸抑制薬(ヒスタミン受容体拮抗薬)でも同様にリスク上昇は認められませんでした。


この研究の意味

これまで「胃がんリスクが上がる」とされた研究結果は、

  • 研究方法の限界

  • 他の危険因子の影響

  • がんの初期症状に対する処方という逆転現象

などが影響していた可能性が高いと考えられます。

今回の大規模研究では、これらをできる限り調整したうえで
明確なリスク上昇は確認されませんでした。


では安心してよいのか?

今回の研究結果から、

🔹 胃酸を抑える薬の長期使用が直接的に胃がんを増やすという強い証拠はない
と考えられます。

ただし、

  • 必要のない長期使用は避ける

  • ピロリ菌の管理は重要

  • 定期的な内視鏡検査が必要な方は継続する

といった基本は変わりません。

 

特に循環器内科ではバイアスピリンの場合はプロトンポンプ阻害薬であるラベプラゾールなどを併用します。今回のデータでは長期併用でも基本的には胃がんがふえるというリスクがないことが証明されました!

今まで以前のデータで悪性腫瘍リスクのため長期継続希望されない方がいらしましたが、今回のデータでは胃がんリスクにはなっていませんでした。ただどうしても心配という方はバイアスピリンではなくプラビックスやエフィエントという薬に変更すればプロトンポンプ阻害薬は併用しなくても大丈夫ですのでご相談ください。


■ まとめ

✔ 以前は「長期使用で胃がんが増える可能性」が示唆されていた
✔ しかし最近の大規模研究では、その関連は認められなかった
✔ 適切な診断と必要な期間での使用が重要