🫀 心臓弁置換が“日帰り”に?TAVI同日退院の安全性を検証(Canadian Journal of Cardologyより)
■ 研究の背景
経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)は、開胸手術を行わずに大動脈弁を治療できる低侵襲治療として急速に普及しています。サルコペニア、フレイルといったご高齢で筋肉量も落ちてきてしまった方は開胸手術がハイリスクなってしまうためより安全に出来るTAVIが増えてきています。
実際自分も開業する前はTAVIを行っていました。胸を手術で傷つけないので一番のメリットは術後早期に歩いたりすることができる点です。
近年は翌日退院(Next-Day Discharge)が一般化しつつありますが、さらに一歩進んだ
👉 「同日退院(Same-Day Discharge)」
の安全性が注目されています。果たしてTAVIを行った日の夕方に退院することは心臓に悪くないのでしょうか!?
■ 研究デザイン
・対象:2018年6月〜2024年12月にTAVIを受けた790例
・このうち279例(35.3%)が同日退院の適格基準を満たすと判断
▼適格基準
・重度の末梢血管疾患なし
・ペースメーカー植込み済み、または正常洞調律
・術後の循環動態が安定
・当日夜の在宅サポートあり
■ 実際の退院状況
・同日退院できた患者:160例(57.3%)
・入院継続となった患者:119例
👉 入院継続の主な理由
・不整脈
・血管合併症
・全身状態への懸念
■ 主要結果(ここが重要)
▶ 30日死亡率
・同日退院:1.8%
・入院継続:0.8%
👉 有意差なし(P=0.472)
▶ 30日再入院率
・同日退院:4.4%
・入院継続:9.2%
👉 有意差なし(P=0.102)
■ 解釈
✔ 同日退院は
👉 適切に選択された患者では安全性に問題なし
✔ むしろ再入院率は低い傾向
(※統計学的有意差はなし)
■ 臨床的メリット
同日退院には以下の利点が期待されます👇
・院内感染リスクの低減
・せん妄リスクの低減(特に高齢者の方)
・患者満足度の向上
・医療資源の効率化
■ 重要なポイント
👉 「誰でも日帰りできる」わけではありません
今回の結果からは
👉 約20%(5人に1人)程度が安全に同日退院可能でした
つまり今後の鍵は
✔ 適切な患者選択
✔ 術後モニタリング体制
✔ 在宅支援の整備
になります
■ まとめ
TAVIは今や
👉 「短期入院」から「日帰り治療」へ進化しつつあります
ただし重要なのは
👉 “安全に帰せる患者を見極めること”、それと何よりも安全にTAVIを行うことになります
実際にTAVIをしていた自分からすると、TAVIというのは手術自体の手技も重要ですが、一番大事だと思うのは術前の評価です。そこでどのような手技を行うか、どのような弁を用いるか、どこを穿刺するか、またどのような合併症が生じやすいか、合併症が生じた際にどのような対応が必要になるかなど、手術が始まるには9割は決まっていると自分は思っています。同日退院できることはいいことなのかもしれませんが、一番大事なのは術前にしっかり評価して治療を行うことです。ハイリスクでTAVIが出来ないこともありますがそれも安全を考慮しての結果になります。TAVI後もしっかりと地域でフォローできるように今後はより密な地域連携がTAVI治療の質をさらに高めると考えられます。


