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SGL2阻害薬は糖尿病や微量アルブミン尿がなくても腎不全、心不全予防効果があるとの報告です

心不全  / 糖尿病  / 腎不全

📌 SGLT2阻害薬の効果:糖尿病の有無とアルブミン尿レベル別 メタ解析

Staplin N, et al. Effects of Sodium Glucose Cotransporter 2 Inhibitors by Diabetes Status and Level of Albuminuria: A Meta-Analysis. JAMA. 2025 Nov 7. Online ahead of print.


🧠 研究背景

SGLT2阻害薬(糖尿病治療薬)は、慢性腎臓病(CKD)の進行予防や心血管リスク低減にも効果があると報告されていますが、
その効果が 糖尿病の有無尿中アルブミン量(アルブミン尿) によってどう違うかはっきりしていませんでした。
(アルブミン尿は腎障害の進行指標の一つです)


📊 解析の概要

  • 8つの大規模ランダム化比較試験を統合したメタ解析

  • 対象は 58,816人

  • SGLT2阻害薬群 vs プラセボ群で比較

  • 糖尿病の有無と尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)で層別解析を実施


🟩 主な結果

✅ 腎・臨床アウトカムに対する効果

📌 SGLT2阻害薬は次の効果を示しました:

  • 腎機能悪化(CKD進行)のリスク低下

  • 全入院(特に心不全入院)の減少

  • 全死亡のリスク低下傾向
    これらの効果は 糖尿病の有無に関係なく認められました。


📍 アルブミン尿レベルごとの効果

  • UACR ≥200 mg/g(高度アルブミン尿)でも

  • UACR <200 mg/g(軽度〜正常範囲のアルブミン尿)でも

どちらの群でも 臨床的利益(絶対的なリスク減少)が認められました。
※背景リスクが高い群(アルブミン尿が多い人)では絶対的利益はより大きくなりますが、
相対的な治療効果自体に大きな差はありませんでした。


🧪 安全性

主要な安全性アウトカムでも、大きなリスク増加は認められませんでした。
副作用は報告されていますが、治療効果が副作用リスクを上回ることが示唆されています。


🧾 臨床的意義と推奨

この解析は以下の点を示唆しています:

SGLT2阻害薬は糖尿病の有無を問わず、腎疾患の進行予防に効果がある
尿中アルブミン量に基づく使用制限は不要
➡ したがって、CKD患者へのSGLT2阻害薬の幅広い適用が支持される結果となりました。

 

当クリニックでも糖尿病の方だけではなく心不全、腎不全の患者様に幅広く使用させていただいております。タンパク尿が出ていない患者様にも使用することがありますがそれを支持する論文になります。海外のガイドラインに準じながら、さらにその先の最新の論文も含めて治療に当たらさせていただきます。